リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
私の返事に嬉しそうに頷くと、雫は胡兎の方にも早足で駆け寄り、了解を得ると、いそいそとレッスンスタジオを出て行った。
“柊子さんから聞いている事”っていうのは、…雫の引っ越しについて。
私達グループの結成当初の決まり事として、レギュラーの個人仕事が決まったメンバーは事務所の寮から出て自分一人の部屋を借りる事ができるルールがある。
私も含め、雫以外の四人はもうだいぶ前に寮を出て行っている。
とは言っても、事務所に所属している若い女子のタレントは私達リアライズだけなので、実質雫は今はもう、一人暮らし同然ではあるのだけども。
明日が今の寮に引っ越し屋の車が来て荷物を運び出す予定日。
だから今日はその荷造りで忙しいってことで…、本当は私達の了承なんて取らなくてもいいのに、それでもこうやって気遣ってくれるのは、やっぱり……。