報復を最愛の君と

また会う日に

まだ使用人達にも抜け出したことが気づかれてないから、今のうちに城内を抜け出すのがいいと思う。


でも、どの門にも見張りがいるし…。


「この後はどうするの?というか、ふたりはどこから入ってきたの?」


もちろん部外者が侵入できないようになってるから、ふたりは誰にも見つからずにここまで来れたってこと。


この時間は特に警備も多いのに。


「地下からだよ」


「地下っていうと…。水が通ってるところ?」


「そうだよ〜」


たしかにそこは警備も薄くなってるはず。


じゃあ、そこから外に出られるんだ!


「何事もなく進みすぎて、俺は怖いけどね〜。だって、この国の姫がこんな時間に部屋にいないなんて誰か気がつくでしょ?」


普通に考えたらそうだよね。


でも、みんな私に興味ないから。


この時間に部屋に来るならカナタくらい…って、あれ?


カナタはこの裏庭のことを知ってるよね?


もしかしたら、ここに来ちゃうかも!?


「早く行かないと!カナタはこの時間よくここにいる私を探しに来るの!だから…!」


「そうですね、全くその通りです」


焦ったところで、もう遅かった。


すでにカナタは裏庭に私を探しに来ていたのだ。


「カナタ!えっと、違うの…!この人達は…」


「ひとりは使用人ですね。あとのふたりは誰ですか?」


ルナだけなら誤魔化せたけど、ソラとスイは誤魔化せない。


ふたりともなんとか顔を見られる前にフードをかぶったみたいだけど。


「仕方ないな」


ソラはそうつぶやいて、私達の前に出た。


「お前はヒメアの使用人か?」


カナタに身バレしないように、深くフードをかぶったまま話しかける。


ソラだって分からないように口調も変えてる。


隣国の王子が侵入してきたなんてバレたらまずいもんね。


「そうですが。姫様に何をしているんですか?それに、どこから入ってきたんですか?」


侵入者を見つけたにしては、冷静な反応。


もっと人を呼ぶとかすると思ってたから。


まるで私達を煽らないように気を使っているように見える。


まさか…!?


「ソラ!急いで正門から出るよ!!!」


私はあることに気がついて3人の手をひき、走り出した。


ここで止まれば確実につかまってしまうから。


「姫様、気がついてしまったんですね。僕がすでに報告をしていると」


カナタは私たちを追いかけてくることはなかった。


だけど、油断はできない。


「いたぞー!侵入者だ!!」


「げっ。そういうこと。もう報告済みってか」


塔の上と後ろに何人もの警備員が集まってしまった。


それを見て、スイは剣を抜く。


「俺が後ろにいるんで、攻撃を防ぎます!ソラは正門の敵をけちらしてください!」


「わかった!」


スイってば、こういう時はすごく護衛役っぽい。


でも、この人数相手じゃ辛いと思うから私も加勢しなきゃ。


確か裏庭の噴水は、海水がふくまれていたはず…!


右手を空に向けて、私は能力を使った。


チャプン。


水音が聞こえ始め、後ろから津波のように水が押し寄せてきた。


これは私の人魚としての能力。


海水であれば操ることができる。


「おいおい、なんだあれ!?」


「私の能力です!私達にはあたらないようして、警備員だけを水で足止めをするので、早く出ましょう!」


私達はひたすらに走り、なんとか正門から出ることができた。


振り返ったところにカナタの姿はなかった。


さよなら。


復讐を終わらせるときに、また会いましょう。


その後は振り返ることなく、走り続けた。
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