報復を最愛の君と
***


「…ア…!ヒメア!!」


「はっ!」


ソラに呼ばれて、私は勢いよく目を覚ました。


さっきまで海の中にいたはずなのに、今は陸地にいる。


夢かと思ったが全身が濡れたままで、もちろん人魚の姿のまま。


でも、やはりさっきの出来事が全て夢のように感じてしまう。


「よかった…!ヒメアがいなかったから、もしかしたら溺れてるのかもって思って。無事で本当によかった…」


ずいぶんと心配をかけさせてしまったみたいで、すごく申し訳ない。


「えと、大丈夫だったよ。海の中では呼吸できたし、溺れるとかはないんだけど…。ソラはどうやって私を見つけたの?」


「えーっと。探してはいたんだけど、見つからなくて。少し経ってから海面にいるヒメアを見つけたんだ。気絶してたみたいでさ」


そっか、私気絶しちゃってたんだ。


でもなんで?


私、たしかクラと話をしてて…。


そうだ、「また会いましょう」って言われたら波で海面に押し上げられたんだ。


そして、そのことを全てソラに話した。


「へぇ…そんなことが。三大能力者、か。俺もちょっと聞いたことはあるけど、詳しくは知らないな…」


「え!?何か知ってるの!?」


私は全く聞いたことがなかったから、ソラが知っていることに驚いた。


だって同じ人間主義国にいるんだもの。


能力者のことを知っている方が珍しいんじゃないかな。


「まあね。都市伝説みたいなもんだよ。大地を守る銀狼、海を守る人魚、天空を守る天竜。唯一無二の存在で、どんな能力者よりも強いっていう話。まあ、いるかどうかすら曖昧(あいまい)らしいけどね」


「え…?人魚も入ってるの?」


「そうみたいだね。だから、ヒメアはその三大能力者ってやつなんじゃない?」


「私が…」


聞いている限り三大能力者ってすごい人達。


そんな中に自分がいるなんて、そうは思えない。


「その、クラ?っていう魚に話を聞いた方がいいかも知れないな。俺も詳しく聞きたいし」


「そうだね。私も」


とにかくこのモヤモヤを早く晴らしたいかな。


でも、またクラに会えるのかな?


どうやって?


「とりあえず、明日みんなにも報告しておこう。ルナは聖女としてお勤めをしていた頃もあるし、何か知ってるかも知れない」


「うん。そうだね」


私達はそんな話をしてから、ふたりで眠りについた。


***


『…様〜。もうっ!!いつまで寝てるんですかヒメア様!!!』


「ん…?」


妙な声が耳元で聞こえて私はゆっくりと目を開けた。


辺りを見回しても誰もいないし、みんなまだ起きてないみたい。


一体誰がしゃべっているの?


『ここ!ここですよ!!忘れちゃったんですか!?』


下の方から声が聞こえて、私は海の浅瀬を見た。


そこには昨日のお魚さん…クラがいた。


「ええ!?クラ!?」


驚いて大きな声をあげてしまった。


まさかこんな場所に魚がいるなんて思わないもの。


少し大変そうにしているクラを見て、私は水をくめそうなものを持ってきた。


クラは海の中でしか生きられないから。


そして、クラと水をすくって近くまで寄せる。


『ありがとうございます。えっとぉ、そちらの方は昨日海面でヒメア様を呼んでいましたね。そちらのふたりは…?』


クラにそう言われて振り返ると、そこには口をぽかんと開ける3人の姿があった。
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