報復を最愛の君と

思いもしなかった再会

その後私たちはベルス国を出発し、森の中にある道を歩いていた。
この道は、ソラがよく城から抜け出した時に使っている道なんだって。
だから、案内はソラに任せることに。
そうしてずいぶん歩いていると、いつの間にか夕方になってしまった。
カント国は森に囲まれた国で、他国と距離が離れてしまっているので休める場所なんてない。
今日は野宿だなぁなんて呑気に考えていると、突然ルナとスイが足を止めた。
それから、低い声で言った。
「ヒメア様、ソラ様。下がっていてください。奥に古屋が見えますね?そこから人の気配がします」
「私も感じました。ふたりで様子を見てきましょう」
その言葉にソラは反応しなかった。
かわりに、なにかを探っているようにピクリとも動かなかった。
そして、大きな声で言い放った。
「数分前からつけているな?すぐ後ろの木の上にいるだろ。降りてこい!」
スイが警戒するように剣を抜き、勢いよく振り返った。
「なっ…」
その後、スイの情けない声が響く。
私たちの視線は、スイの肩に手を置いている人物に釘付けになった。
この人を私が見間違うはずがない。
「そこで、なにをしているの?手を離して!——カナタ!!」
そこには今までとまるで雰囲気の違うカナタが立っていた。
髪型はセンターわけで、真っ赤な瞳を光らせている。
私の知っているカナタではなかった。
カナタはフードをとってニヤリと笑った。
「いや〜ご名答。さすが姫様ですね。で、そこの王子くん。俺の動きを完璧に捉えてたけど、君何者?」
そう言ってカナタは視線をソラに移した。
その視線はすごく鋭かった。
けれど、ソラはニコッと笑って平然と答えた。
「俺はカント国の王子だよ?このくらいできないと。ちなみに、俺はスイより強い自信はあるよ」
「へ〜え。それはすごいなぁ。おっと、姫様そんな顔しないでくださいよ」
私がカナタを睨んでいたのがバレたようだ。
だって、さっさとスイを離してほしかったから。
それからすぐに手を離してくれた。
「まあいいや。それで?君たちはここで野宿?ならさ、俺の家泊まりなよ」
「えっ!?なに言ってるんですか!?私たち敵同士ですよね!?」
ルナが大きな声をあげた。
私だって同じく驚きだ。
カナタとはもう仲間でも友達でもなんでもない。
なにか裏があるに違いない。
「んや、別に裏とかないよ?ていうか、俺はアヤカとユウセイに研究結果を提供してるだけ。別に姫様たちと敵対する気はないぜ?」
私たちはポカンとしてしまった。
たしかに、カナタは私たちに手を出したことはなかったかもしれない。
でも、敵地にいるなんてそれこそ危険すぎる。
疑いの目をカナタに向けていると、ソラがありえないことを言った。
「いや、こいつを信じよう」
「はぁ!?ソラ様なにを言うんですか!」
スイがキレ出してしまった。
まあ、私も賛成はできないからスイ派だけど…。
でも、きっと理由があるはずだ。
そんな時、ルナが口を開いた。
「この方は嘘を言っていません。さっきから一度もモヤが出ないんです」
「ん?どゆこと?」
ルナの言葉にカナタがそう言った。
モヤってどういうことなんだろう?
「私は聖女なので、人の嘘と悪が黒いモヤとなって見えるようになるんです。この人からは一度もモヤが出ない。つまり、嘘をついていないしなにも企んでいないってことなんです」
そっか、ルナは聖女だって言ってたもんね。
ルナの言うことは信用できる。
「ま、ということで。どうする?泊まる?」
その言葉に、「はい」以外の返事があるわけがなかった。
< 65 / 65 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

呪われた聖女は運命を覆したい

総文字数/6,774

ファンタジー5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
_________________ ʚ♡ɞ _________________ 同じ運命は辿らないと決めたの でも、この運命は聞いてません! 侯爵家の次女&呪われた聖女 ムク・マリーウット・スペネット × コルド国第四王子&呪われた暴君 セア・フローレンス・イリュシア この神の遺物を使って私は運命を覆す でも溺愛ルートは聞いてない! 「お前が呪われた聖女か」 「私は必ずアラン様の悪事を暴き、サニアに復讐をします」 私は私のために行動する ただひとつ想定外なこの人からは抜け出したい 「俺の婚約者にならないか?」 「お、お断りします…!!」 _________________ ʚ♡ɞ _________________
作品設定図鑑

総文字数/100,918

その他33ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い?!〜 恋星夢乃より 完成! 番外編『ヴァンパイア』 裏社会の私と表社会の貴方との境界線 雨晴華恋より 完成! 番外編『裏社会』 各話本編after 愛を知らない最強女子高生は最強総長様に溺愛される 橘美結より 番外編『愛最』 各話本編after集 報復を最愛の君と ヒメア・イコロより 番外編『報最』 キミに憧れたから 七瀬初音より 番外編『キミあこ』 本編after story 罪な僕は君と幸せになっていいだろうか 鷹栖蒼唯より 番外編 『罪君』
表紙を見る 表紙を閉じる
_________________ ʚ♡ɞ _________________ 家族にも友達にも虐げられる毎日 そんな日々が変わったのはあの日 貴方に出会ったから 愛を知らない&地味子ちゃん 橘美結(たちばなみゆ) × 女嫌い&最強の総長 黒瀬瑞生(くろせみずき) 黒瀬くんは女嫌いなはずなのに 「どうした?ほら、言ってみ?」 こんなに甘々なのはどうしてなの 「お願いだから俺以外にその可愛い顔見せないでね?」 黒瀬くんの全部が知りたいの _________________ ʚ♡ɞ _________________

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop