報復を最愛の君と
「あんたたちはカント国にはソラの前に生まれていた、第一王子がいたことを知ってるかい?」
有名な話だ。
カント国第一王子ユウキ・カント王子は、研究が大好きで人々を救うためのポーションを開発したすごい人だった。
そんなユウキ王子は実験用の材料集めによく出ていた。
そんなある日、材料集めに森に行ったきり帰ってこなくなった。
いくら捜索しても全く手掛かりが見つからず、現在も探し続けているそう。
しかし、なにも見つかっていない。
手掛かりが見つからないことから能力者の仕業だと言われ、カント国は能力者を恨み人間主義国となった。
女王が心を閉ざす原因となった歴史であり、学園等でも歴史として教えられるほどのものになってしまった。
「はい、知っています。偉大な人だった、けれど消息不明になった悲しき人物と言われていますよね」
「ああ、そうだ。知ってるなら早いね。結論から言うと、ユウキ王子は生きてるんだ。名前を変えてね」
ど、どういうこと…?
生きてる!?いったいどこで?
「特にヒメア様はよ〜く知っているだろう?……カナタ・メアンさ」
それを聞いて、私は言葉を失った。
どうしてそんなふうに断言できるのだろう。
そんなわけない。
カナタは平民育ちであり、イコロ国王城の執事だ。
国籍はもちろんイコロ国だし。
私は恐る恐る聞いた。
「ど、どうしてそんなことがわかるんですか…?」
すると、エミカさんはふーっと息を吐き出した。
それから、自分の目を指差して言った。
「あたしはここで能力者の孤児院をやってるだけあってね、自分も能力者なんだ。能力はこの目だよ。その人を見るだけで記憶を見ることができる。写真や絵なんかでも見れちゃうのが、この能力の怖いところさ」
つまりエミカさんはなんらかの形でユウキ王子の写真を見て、記憶を読んでしまったってことだ。
私はだったら、とエミカさんに聞いた。
「カナタがどうしてこんなことをしているか、エミカさんは知っているんですか…?」
その質問に、エミカさんは首を振った。
「記憶は見れても感情まではわからないんだ。ただ、ひとつだけわかるのは…。ユウキ王子は誰かを守るためにやっている、とね」
誰かを守るため。
それが誰なのかはわからないけど、そうまでしないとダメなものなのかな。
その他にもいくつか情報を聞いてから、私たちは店を後にした。
***
去り際、エミカはソラを引き留めた。
それから、真剣な顔をして言う
「あんた、全部知ってんだね?カナタ・メアンがユウキ王子だってことも。その真意も。なんで姫様に伝えないんだい」
その言葉に、ソラは一瞬言葉を詰まらせた。
「…知ってる。兄様が俺に一緒についてこないかって提案したから。その後だって、俺のために薬を作り続けてくれて定期的に会ってるし。でも…ヒメアにはいえない。俺はもうすぐ死ぬんだから」
そう言って自分の頭上を指差した。
ソラには見えていた、自分の寿命が。
ちょうど今日で1年。
それは、ソラがもうヒメアと別れなければならないことを示していた。
「隠して…それでどうなるんだい。姫様の気持ちを、もうちょっと考えるんだね」
「わかってる」
そう言ってソラは乱暴にドアを閉めた。
伝えた方がいいこともわかっていた。
自分の寿命がもう少ないこと、自分の能力のこと、ヒメアの過去を改変しようとしていること。
だけど、それを言ったらヒメアはきっと俺に「どうして?」と聞くだろう。
泣くかもしれない。
自分勝手だとわかっている。
どうせ泣かせることになるなら、自分が死んだ後にしてくれなんて。
自分がヒメアの涙を見たくないだけなんだ。
有名な話だ。
カント国第一王子ユウキ・カント王子は、研究が大好きで人々を救うためのポーションを開発したすごい人だった。
そんなユウキ王子は実験用の材料集めによく出ていた。
そんなある日、材料集めに森に行ったきり帰ってこなくなった。
いくら捜索しても全く手掛かりが見つからず、現在も探し続けているそう。
しかし、なにも見つかっていない。
手掛かりが見つからないことから能力者の仕業だと言われ、カント国は能力者を恨み人間主義国となった。
女王が心を閉ざす原因となった歴史であり、学園等でも歴史として教えられるほどのものになってしまった。
「はい、知っています。偉大な人だった、けれど消息不明になった悲しき人物と言われていますよね」
「ああ、そうだ。知ってるなら早いね。結論から言うと、ユウキ王子は生きてるんだ。名前を変えてね」
ど、どういうこと…?
生きてる!?いったいどこで?
「特にヒメア様はよ〜く知っているだろう?……カナタ・メアンさ」
それを聞いて、私は言葉を失った。
どうしてそんなふうに断言できるのだろう。
そんなわけない。
カナタは平民育ちであり、イコロ国王城の執事だ。
国籍はもちろんイコロ国だし。
私は恐る恐る聞いた。
「ど、どうしてそんなことがわかるんですか…?」
すると、エミカさんはふーっと息を吐き出した。
それから、自分の目を指差して言った。
「あたしはここで能力者の孤児院をやってるだけあってね、自分も能力者なんだ。能力はこの目だよ。その人を見るだけで記憶を見ることができる。写真や絵なんかでも見れちゃうのが、この能力の怖いところさ」
つまりエミカさんはなんらかの形でユウキ王子の写真を見て、記憶を読んでしまったってことだ。
私はだったら、とエミカさんに聞いた。
「カナタがどうしてこんなことをしているか、エミカさんは知っているんですか…?」
その質問に、エミカさんは首を振った。
「記憶は見れても感情まではわからないんだ。ただ、ひとつだけわかるのは…。ユウキ王子は誰かを守るためにやっている、とね」
誰かを守るため。
それが誰なのかはわからないけど、そうまでしないとダメなものなのかな。
その他にもいくつか情報を聞いてから、私たちは店を後にした。
***
去り際、エミカはソラを引き留めた。
それから、真剣な顔をして言う
「あんた、全部知ってんだね?カナタ・メアンがユウキ王子だってことも。その真意も。なんで姫様に伝えないんだい」
その言葉に、ソラは一瞬言葉を詰まらせた。
「…知ってる。兄様が俺に一緒についてこないかって提案したから。その後だって、俺のために薬を作り続けてくれて定期的に会ってるし。でも…ヒメアにはいえない。俺はもうすぐ死ぬんだから」
そう言って自分の頭上を指差した。
ソラには見えていた、自分の寿命が。
ちょうど今日で1年。
それは、ソラがもうヒメアと別れなければならないことを示していた。
「隠して…それでどうなるんだい。姫様の気持ちを、もうちょっと考えるんだね」
「わかってる」
そう言ってソラは乱暴にドアを閉めた。
伝えた方がいいこともわかっていた。
自分の寿命がもう少ないこと、自分の能力のこと、ヒメアの過去を改変しようとしていること。
だけど、それを言ったらヒメアはきっと俺に「どうして?」と聞くだろう。
泣くかもしれない。
自分勝手だとわかっている。
どうせ泣かせることになるなら、自分が死んだ後にしてくれなんて。
自分がヒメアの涙を見たくないだけなんだ。