報復を最愛の君と

敵

「……め様、姫様!」
私はハッとして顔をあげた。
ルナに呼ばれていたのに、全く気がつかなかった。
「姫様、先程のお話…やはり気になりますかね?」
エミカさんからユウキ王子の話を聞いてから元気がなくなったから、そう言ったのだろう。
私は小さく頷いた。
「そう…ですよね。まさかあのお方がユウキ王子だなんて、全くわからなかったです」
「ルナは…ユウキ王子に会ったことがあるの?」
「そりゃもちろん!聖女のお勤めの時にはよく会っていましたよ!…とても聡明で、優しいお方でした」
ルナは思い出すように微笑んだ。
私はカナタがユウキ王子だった時に会ったことがないから、どんな人かはわからない。
「どうしてああなってしまったのか、見当もつきません。ですが、私が思うに姫様をお守りするまでなのではないでしょうか」
「私…?」
私は首を傾げた。
私を守るためって、いったいどうして…。
「カナタ様の姫様を見つめる視線は、本当に優しかったんです。今思えばユウキ王子の時の視線と同じだったんです。まあ、わからないですけどね」
そう言ってルナはヘラリと笑った。
「考えていても仕方ありません。もう一度カナタ様にお会いした時に、話してみるのはどうでしょう?今はソラ様とのお時間を楽しみましょう」
そう言って笑うルナに、私は目を見開く。
それからクスッと笑った。
「うん。そうだね。カナタとは、また会う日に…」
そう言って目を伏せた。
「ごめん、遅くなった!」
その時、ソラがエミカさんと話し終わったみたいだった。
私はソラに首を横に振る。
「ううん。大丈夫。それより、いい場所教えてくれるんでしょう?行きましょ!」
そう言ってニコッと笑うと、ソラはどこかホッとした表情を見せた。
それからソラも笑って言った。
「うん。行こう」
***
ソラが連れてきたのはカント国の首都ゲネシスだった。
城下町とも呼ばれ、見上げればすぐに城が見えるのだ。
首都というだけあってすごい人で、お店がたくさん出ていた。
「相変わらずすごい人だなぁ」
スイがそんなことを言う。
私はこういうところは初めてくるから、なんだか羨ましい。
当然のようにクラも初めてのようで、はしゃいでいた。
「ヒメア様!!なにから見ましょう…!?」
「く、クラ〜。はしゃぎすぎ…!!」
「はっ!すみません!」
言葉とは裏腹に、少しずつ私を引っ張っている。
もう、仕方ないんだから…!
「わかったから、早く行こ!」
「ヒメア〜、あんまり遠くいくなよ」
ソラの言葉に頷いて、私とクラはお店をまわり始めた。
こうやってはしゃぐのは初めてだし、イコロ国を出てからようやく一息つけた感じ。
とても楽しい。
そんなこんなでもう2時間も経ち、夕日は沈んでいた。
お腹減ってきちゃったな。
みんなで合流して、お夕飯を食べるお店を探すことにした。
「あっ、ここなんかどうですか?」
ピタッとルナが足を止めて、左にあるお店を指差した。
看板にはパラミティと書かれている。
なんだかとってもメルヘンなお店で、かわいい。
「いいですね。賛成です」
ウキウキでそう言ったクラに、私はクスッと笑った。
「じゃあここにしよっか」
私たちはドアを開いて、お店の中に入っていった。
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