【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

第7章 マタニティブルー

 翌日も、目が覚めると吐き気でベッドから起き上がるのも一苦労だった。

 千早さんは私を起こさないよう、仕事に出掛けている。

 私が食べるかわからないのに、ダイニングテーブルの上に簡単な朝食を用意してくれていた。

 スマホを見てみると、千早さんからメッセージが届いている。

 画面を開くと、一緒に新婚旅行で北海道へ行った時の写真が目に入った。
 美瑛町の大自然の写真だ。

『今度、気分転換で自然に触れあえるところへ行こう』

 つわりで苦しむ私を気遣ってくれる優しい文章に、思わず笑みが零れた。

 私はスタンプで返信すると、画面を閉じて、用意してくれていた朝食に口をつけた。

 つわりは相変わらずで、おなかの赤ちゃんがちゃんと成長しているか不安しかないけれど、この体調不良が続いている間はお腹の中に赤ちゃんがいると割り切ることにした。そう思うことで、つわりを乗り切る作戦だ。

 妊娠がわかり、昨日千早さんが仕事終わりにマタニティー関連の書籍を何冊か購入して帰ってきたので、私はそれを見ながら妊娠中の生活の心構えをすることにした。

 つわり中は食事がままならないのは仕方ないけれど、とにかく口にできるものは口にしておなかの赤ちゃんに栄養が届くようにしなければならない。

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