君ともう一度、 恋を始めるために
それは隣町で催された国際交流と異文化との出会いをテーマした期間限定のイベント。
いくつかのカフェに特設の本棚を設置して旅行書や西洋文化を中心とした本が並べられており、普段から海外のホテルや観光に興味を持っていた涼は休みの日に足を運んだ。
しかし、期間限定のイベントだけあって店内の席はほぼ埋まっていた。
仕方がないから本だけ買って帰ろうかと諦めかけたとき、店の一番奥まった場所に座るは柚葉の後ろ姿に目が留まった。

―――あれは、間違いない。

見れば柚葉の隣に一つ席が空いていて、涼は迷うことなく相席を申し出た。

「ご一緒してもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます」

これが、涼と柚葉が直接言葉を交わした初めての時だった。
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