Good day ! 4【書籍化】
「ただいま!」
「おっ、舞、おかえり」

満面の笑みでリビングに入って来た舞に、大和は顔を上げて声をかける。

「随分ご機嫌だな、舞。楽しかったか?」
「すごくたのしかった! あのね、おかあさんがひこうきとばしたんだよ」

ええー!?と翼が仰け反って驚く。

「まい、おかあさんとそらとんできたの?」
「うん! そんなきぶんだった」
「いいなー。おれもとびたかった」

大和は、続いてリビングに入って来た恵真に、どういうこと?とばかりに目で問いかけた。

「ふふっ、空港でフライトシミュレーターをやってきたんです」
「ああ! あの、カフェの近くにある?」
「ええ。想像以上に本格的でしたよ」
「そうか。じゃあ今度俺も、翼を連れて行ってみようかな」

大和の言葉に、翼は待ち切れないとばかりに身を乗り出す。

「おとうさん、ぜったいにつれてってね」
「分かった、約束な」
「やったー!」

翼は、大和と作ったペーパークラフトの飛行機を、ブーン!と飛ばす真似をする。

「おにいちゃん、おみやげあるよ。チーズケーキ!」
「おおー、ありがと! まい」

恵真は早速ケーキをお皿に並べて、紅茶を淹れた。

「大和さんも、ショコラケーキどうぞ」
「ありがとう。おっ、これ空港で人気のケーキ屋さんだろ?」
「そうなの。空港って、改めて見て回ると楽しくて」
「ははっ、確かに。いつもは時間に追われて通り過ぎるだけだもんな」
「ええ。私もいい気分転換になりました。大和さん、翼を見ててくれてありがとう」
「こちらこそ。舞がこんなに明るい表情で帰って来たのは、恵真のおかげだ」

ソファの前のローテーブルで、仲良くケーキを食べている翼と舞を、二人は微笑ましく見守る。

「舞、よほど恵真とのデートが楽しかったんだな。なんか……、ちょっと妬ける」
「はい!? 妬けるって、誰に?」
「舞に。だって恵真、俺とデートなんて随分ご無沙汰じゃない」
「それは、まあ。でもだからって、娘にヤキモチなんて」
「じゃあ今度俺ともデートしてくれる?」

真剣な表情の大和に真っ直ぐ見つめられ、恵真は一気に頬を赤らめた。

「そんな、改まって言わないでください」
「言わないとしてくれないじゃない。俺とデート」
「し、しますよ。しますとも、はい」
「よし! 約束だぞ?」
「ですからそんな、念を押さなくても……」
「じゃあ指切りする?」
「しません!」

赤い顔をごまかすように、恵真はうつむいてケーキをパクパク頬張った。
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