Good day ! 4【書籍化】
「それでは最後に、卒園生から保護者の皆様へプレゼントがあります。お子さんのところに来てください」

園児たちの集合写真のあと、先生がマイクで呼びかけた。
ようやく涙が落ち着いた恵真は、大和と共に翼と舞のもとへと行く。

「翼、舞、とっても素敵だったわよ。がんばったね」

しゃがんで二人を抱き寄せると、二人とも照れたように笑った。

「おとうさん、おかあさん。いままでありがとう。これからもよろしくね」

そう言って翼が大和に、舞が恵真に一輪のカーネーションを差し出す。

「わあ、ありがとう!」

笑顔で受け取っていると、先生がもう一度マイクで呼びかけた。

「お花の他にもう1つ。子どもたちが保育園の思い出と保護者の皆様への感謝の言葉を綴った作品集をお渡しします。お受け取りください」

先生から配られた作品集を、翼と舞が笑顔で差し出す。
それはリボンで綴じたお絵描き帳だった。

「ありがとう、舞。見てもいい?」

すると舞は、「うーん」と視線を落とす。

「はずかしいから、おうちにかえってからみてくれる?」
「え? ああ、そうね。分かった。あとで見せてもらうね」
「うん」

何が描いてあるんだろう、と気になるが、恵真も大和も今は我慢することにした。
隣に並んでいた翔一は、得意げに「みてみて!」と野中に笑いかけている。

「どれ、何が描いてあるんだ? おお、似顔絵か! よく描けてるな」

他の保護者たちも、嬉しそうに我が子の作品集をめくっていた。
どうやら家族の似顔絵や、保育園での思い出の場面などが描いてあるらしい。

「つばさのおかあさんもみて!」

翔一に言われて、恵真も、どれどれ?と覗き込む。

「上手だね、翔一くん。お父さんとお母さんの似顔絵、そっくりだよ」
「でしょー? えへへ。こっちもみて。しょうらいのゆめ!」

野中が持っている作品集に手を伸ばし、翔一はページをめくった。
そこに描かれていたのは、大きな口を開けて笑っている制服姿の翔一と、クレヨンで書かれた文字。

『パイロットに おれはなる!』

野中がブッと吹き出して、翔一の頭をグリグリとなでる。

「翔一。嬉しいけど、これだと海賊だ」
「ほんとよ。まあ、気合いは充分伝わるけど」

彩乃も笑いながら翔一の肩を抱いた。

「だろー? おれ、ぜったいパイロットになるもんね」
「パイレーツじゃないよな? 頼むぞ、おい」

あはは!と楽しそうな野中たちに、恵真と大和も思わず笑う。

「翔一くんらしくていいですね」
「ああ、そうだな。将来が楽しみだ」
「翔一くん、一緒に飛べる日を待ってるからね」

翔一は満面の笑みで「うん!」と頷いた。
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