Good day ! 4【書籍化】
ブリーフィングを終え、出発の準備が全て整うと、管制官にプッシュバックの許可をもらう。

「今日はAPUもご機嫌だな」
「ええ、よかったです」

プッシュバック中にスムーズにエンジンをスタートさせた。

夜の滑走路に誘導灯が美しく浮かび上がる。

「よし、行こう」
「はい」

久しぶりの二人でのフライト。
だが見事に息の合ったコンビネーションで、無事に飛行機は離陸する。

「JW 186. Contact Departure. Good day!」
「Contact Departure, JW 186. Good day!」

宝石箱のように眼下にきらめく東京の夜景が、みるみるうちに遠ざかっていく。
その美しさに見とれながら高度を上げ、やがて巡航に入った。

「さてと。PAどっちが入れる?」
「それはもう、当然キャプテンにお願いします」
「恵真もキャプテンじゃない」

うぐっ……と恵真は言葉に詰まる。

「今の私はFOデューティーなので」
「じゃあFOとしてしゃべれば?」
「無理です! だって、部長と谷口教官にも聞かれちゃうんですよ?」

つい本音をもらしてしまった。

「あ、気づいてたか。さり気なく恵真に頼もうと思ったんだけどなあ。うーん、仕方ない。じゃあ、往路は俺が入れるか」
「はい! よろしくお願いします。I have control.」
「そんなきっぱり言わなくても……。You have.」

大和は少し考えを巡らせてから、マイクのスイッチを入れた。
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