Good day ! 4【書籍化】
翌日の折り返し便。
「大和さん、谷口教官のことは言わないでくださいね。思い出したら緊張しちゃう」
ブリーフィングしながら、恵真は既に緊張気味だった。
「俺は言ってないけど、恵真が自分でしきりにそう言ってる」
「私、己に言い聞かせてるんです。部長も谷口教官も、別の便で帰国されたって」
「だから、そうすると余計に意識するんだって。大丈夫だよ、恵真なら」
「どうしよう、合格もらえなかったら……」
「いやいや、審査じゃないってば!」
そわそわと落ち着かない恵真だったが、いざコックピットの左席に座り、操縦桿を握ると一気に顔つきを変える。
(やれやれ、やっとスイッチが入った。これでもう安心だな)
右席から恵真を見つめて、大和はクスッと笑みをこぼした。
楽しかったホノルルでの思い出を胸に、恵真と大和はコックピットから空を眺める。
ハネムーンフライト、フライトデビュー、そしてこのフルムーンフライト。
時間を重ね、家族が増え、幸せが広がったこの21年間。
まるで今日は、自分たちにとっての卒業式。そんなふうに感じて、二人は心静かに窓の外の美しい景色を見つめていた。
「大和さん、谷口教官のことは言わないでくださいね。思い出したら緊張しちゃう」
ブリーフィングしながら、恵真は既に緊張気味だった。
「俺は言ってないけど、恵真が自分でしきりにそう言ってる」
「私、己に言い聞かせてるんです。部長も谷口教官も、別の便で帰国されたって」
「だから、そうすると余計に意識するんだって。大丈夫だよ、恵真なら」
「どうしよう、合格もらえなかったら……」
「いやいや、審査じゃないってば!」
そわそわと落ち着かない恵真だったが、いざコックピットの左席に座り、操縦桿を握ると一気に顔つきを変える。
(やれやれ、やっとスイッチが入った。これでもう安心だな)
右席から恵真を見つめて、大和はクスッと笑みをこぼした。
楽しかったホノルルでの思い出を胸に、恵真と大和はコックピットから空を眺める。
ハネムーンフライト、フライトデビュー、そしてこのフルムーンフライト。
時間を重ね、家族が増え、幸せが広がったこの21年間。
まるで今日は、自分たちにとっての卒業式。そんなふうに感じて、二人は心静かに窓の外の美しい景色を見つめていた。