Good day ! 4【書籍化】
「それじゃあ、ここで」

翌日。
4人揃って車に乗り込み、羽田空港へとやって来た。
恵真と大和はShow Upに向かう前に、空港ターミナルで翼と舞に向かい合う。

「お父さんとお母さんのフライト、客席からしっかり勉強させてもらうね」

舞がにっこり笑顔を浮かべた。

「俺たちの一番のお手本だからな」

そう言って翼も笑う。

恵真は、溢れそうになる涙を懸命に堪えた。

「翼、舞。身体に気をつけてね」
「うん。お母さんとお父さんもね」
「何かあったら、いつでも電話してきて」
「ありがとう。でもお兄ちゃんも翔くんもいるから、大丈夫よ」

親の自分より、子どもたちの方がしっかりしている。
いつの間にこんなに大きくなったのだろう?
恵真はたまらず、翼と舞をギュッと抱きしめた。
幼い頃は1日に何度も二人を抱き上げていたのに、今は身長も追い抜かれている。

(最後にこの子たちを抱っこしたのは、いつだったのだろう)

そう思った途端、涙が溢れた。
きっと何気なく抱き上げ、いつものようにトンと下ろしたに違いない。
それが最後の抱っこだとも気づかずに……

「翼、舞……。たくさんの思い出をありがとう」
「やだ、お母さん。私まで泣けてきちゃう」

舞は慌てて目元を拭った。

「まだまだ子どもでいさせてよ。すぐにまた会えるから」
「うん、そうよね。飛行機ですぐだもんね」
「心配だからって、飛行機で迎えに来ないでよ?」
「ふふっ、行っちゃうかも」
「もう、お母さんたら」

もう一度ギュッと抱きしめてから、恵真は二人に笑いかける。

「じゃあね。翼、舞、行ってらっしゃい!」
「行ってきます!」

恵真と舞が微笑み合うと、大和が翼と顔を見合わせた。

「恵真、行ってらっしゃいって言うけど、俺たちが飛行機で送るんだぞ?」
「そうだよ、俺も『いやいや、送ってくださいよ』って思った」

あ、そうか!と、恵真は舞と笑い出す。

「しっかり送り届けるね」
「うん! お願いします」

最後は4人笑顔で手を振って別れた。
< 74 / 78 >

この作品をシェア

pagetop