蛍火のような恋だった
「…蛍、お父さんとお母さんで話したんだけど、やっぱり」
「嫌だよ。私、病院になんて絶対戻らない」
今度は、私がお母さんの言葉を遮る。
お母さんが何を言いかけたなんて、すぐわかる。
わかるから、聞きたくなかった。
「それでも、お母さんたちはあなたが心配なの」
「私が学校行きたいって言ったとき、ふたりとも頷いてくれたじゃん…あれは嘘だったの?」
ドアを握る手に、力がこもる。
このままだと、ただ喧嘩になるだけだ。
そう思った私は、力を込めていた手を緩めて、お母さんよりも上手な笑顔を見せる。