蛍火のような恋だった
遠ざかっていくふたりの背中から視線を外して、歩き出そうとした時ーーー
「わっ!」
今までにないくらい強い風が前から吹いてきて、持っていた傘がするりと手から抜けた。
力なく握っていたから、傘はいとも容易く風に吹かれて舞い上がっていく。
どうしよう…
飛ばされた傘は、さっきの男子ふたりの方へと流されていく。
「危ない!」
私は思わず、お腹の底から声を出した。
こんなに声を張り上げたのなんて、いつぶりかわからないくらい。