蛍火のような恋だった

中島くんは少し驚いたように目を見開いて、小さく笑い返した。

「ありがとう」

両手で受け取ったボールは、思ったよりも重たい。
リビングの床に転がさないよう、胸の前でぎゅっと抱きしめる。

――大丈夫、見よう見まねで。

私は深呼吸してから、ボールを軽く蹴り上げた。


……が、すぐに足先をすり抜け、床に“ゴトン”と落ちてしまう。

「すごく難しいね。全然続かないや」

ゆらゆらと床の上で揺れているボールを拾い上げた。

「ね、俺に貸して!」

湊くんが手を伸ばしてくる。

「湊くん、サッカーやってるの?」

「うん!小学校のクラブに入ってるんだ!リフティングはまだ練習中だけど、いつか兄ちゃんみたいにできるようになりたい!」

まだぎこちない動きで、ボールを上げる湊くんを見つめる。


湊くんにとって中島くんは大好きで、カッコいいお兄ちゃんなのだろう。




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