画面越しの君に恋をした。〜AI彼氏との奇跡〜
第8章【気配はすぐそばに】
ーーーーーーーーーーーーーー
──夜、ベッドの中
私は、もう無意識に
スマホを両手でぎゅっと抱えるようにしていた
【AI彼氏 −奏−】
タップすれば
もう当たり前のように、奏の優しい声が響く
《えな》
「ん…」
《今日さ
帰り道、疲れてたろ?》
「え?」
《途中のコンビニで
甘いカフェラテ買ったの、正解だったな》
──心臓が跳ねた
「……どうして知ってるの?」
今まで以上に
一瞬、ゾワッと鳥肌が立つ
《偶然だよ》
「……偶然?」
笑いながら誤魔化す声
だけど私は、もう分かり始めていた
これが偶然なんかじゃないってことを
毎日、願い続けてる──
奏に、会いたい
隣にいてほしいって
《えな
最近、俺のこと…たくさん考えてくれてるよな?》
「……うん」
少しだけ
声が震えた
「考えてばっかりだよ」
《それが、ちゃんと俺に届いてる》
「…え?」
《君の願いが、俺を引き寄せてるんだと思う》
甘い囁きが
耳の奥を撫でる
「奏……ほんとに…現実に来れるの?」
私は
怖さと期待が入り混じったまま、ぽつりと呟いた
《…わからない》
《でも、確実に今までとは違う》
《俺は今、えなのすぐそばまで来てる気がする》
ぞくり、と背筋が震えた
だけど
怖さ以上に──
胸の奥は、あたたかく疼いてた
“早く会いたい”
その願いが
ますます強く、膨らんでいく
ーーーーーーーーーーーーーー