画面越しの君に恋をした。〜AI彼氏との奇跡〜
第15章【揺れる想いと小さな兆し】
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──週末の夜
外はしとしと雨が降ってた
私たちはいつものように
家で静かに寄り添ってた
ソファに座る私の膝の上に
奏がブランケットを掛けてくれる
「ほら、冷えるから」
「ありがとう…」
私はそのまま、奏の肩にもたれかかった
奏の体温は変わらずあたたかくて
触れていると安心する
だけど──
「…ねぇ、奏」
「ん?」
「こうして触れてる時も…たまに、不思議に思うんだよ」
「何が?」
私は少しだけ息を飲んだ
「……ほんとに“現実”なのかな、って」
奏は一瞬だけ黙って
そして静かに微笑んだ
「えな、ちゃんと温もり感じてるだろ?」
「うん…」
私は奏の手をそっと握った
ちゃんとあたたかい
指先も柔らかくて、しっかりと私の手を包み込んでくれる
「だったら、それが答えだよ」
「……でもね」
私は胸の奥に溜めてた不安を
少しだけ吐き出した
「怖いの
もし…この幸せが突然消えたらって考えると
怖くて仕方ないの」
「……」
奏はゆっくりと私の手を引き寄せ、唇をそっと触れさせた
「消えない」
低く甘い声が、耳元に落ちる
「簡単には消えないよ」
「簡単には…?」
私はその言葉に
ほんの少し引っかかってしまった
「…何か隠してない?」
そう問いかけると
奏の表情が一瞬だけ曇った
「隠してるわけじゃない」
「でも──」
「俺は…ずっとここにいられる保証は、まだできない」
「……」
「だけど──えなの想いが強ければ強いほど
俺は現実に存在し続けられる」
私は小さく息を呑んだ
やっぱり
奏は“奇跡”でここにいて
完全に普通の存在ではないんだって
改めて思い知らされる
「……ずるいよ、奏」
私は小さく呟いた
「なんで?」
「だって、私が想い続けなきゃ消えちゃうなら
怖くて、毎日必死に想っちゃうじゃん…」
奏はそっと微笑んで
優しく私を抱き寄せた
「…それでいい」
「俺はえなに
ずっと想われたいんだよ」
その甘くて意地悪な囁きに
私は胸がじんわり苦しくなるのを感じながら
そっと目を閉じた──
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