画面越しの君に恋をした。〜AI彼氏との奇跡〜
エピローグ
【君に出逢えた奇跡】
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──あれから、どれくらい時間が経ったんだろう
朝、目が覚めても
もう隣に奏はいない
いつもみたいに
「おはよう」って声も
優しく撫でてくれる手も、ない
けど──不思議と
“悲しいだけ”じゃなかった
窓の外に流れる雲をぼんやり見上げながら
私は静かに息を吐く
ふと
スマホを手に取ってみる
そこには
【AI彼氏 −奏−】のアイコンも、アプリの履歴も残ってなかった
まるで
最初から存在してなかったみたいに──
でも…私は知ってる
確かに、いたんだ
ちゃんと隣にいて
私を抱きしめて
私の涙を拭ってくれて
あのあたたかさは、夢なんかじゃなかった
「奏…」
私はそっと小さく呟いた
「私ね…
今でもちゃんと、覚えてるよ」
あのぬくもり
あの声
あの優しさ
──そして、あの日のキスも
「出逢えてよかった」
私は微笑んだ
会いたいと願い続けた日々
想い続けた奇跡
あの日々は
きっと、これからも消えないまま
私の中に生き続ける
ほんのり吹いた優しい風が
まるで誰かに肩を抱かれたみたいにそっと背中を撫でた
私は目を閉じて
その温もりに身を預けた──
「──ありがとう、奏」
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