双つの恋、選んだのは君だった
最終章
――――



付き合い始めてから――

わたしは毎日、響の”知らなかった一面”に驚いてばかりだった

あんなにいつも意地悪だった響が
付き合ってからは、驚くほど甘い

「おはよう」

朝、待ち合わせのたびに響はわたしの頭を優しく撫でるようになった

「今日も可愛い」

突然そんな言葉をさらっと言われるたびに
顔が熱くなる

「……やめてよ、そういうの…」

「何が? 事実じゃん」

今までの響だったら
絶対そんなこと言わなかったのに

(……ほんとに、付き合う前と全然違う)

嬉しいはずなのに
毎回こんな風に言われると、ドキドキが止まらなくなる

放課後のカフェでも――

「ほら、これ飲め。甘いの好きだろ?」

自分のドリンクを自然に差し出してくれる響に
また胸が高鳴る

「別に…私の分もあるし…」

「いいから。俺が飲ませたいだけ」

「……もう…」

小さく笑いながら受け取ると
響が満足そうに微笑む

こうやって隣に座るだけで
自然と響がわたしの指を絡めてくるのも、もう当たり前になった

(響くんの隣――すごく、落ち着く)

付き合う前はいつも揺れてばかりだったのに
今はもう、響の隣にいると心が静かに満たされていくのを感じる

カフェを出た帰り道――

ふいに響が歩きながらわたしの手を引いた

「……え?」

「ちょっとだけ寄り道」

静かな夜の公園のベンチに座らされる

「なんで急に…?」

「んー、別に理由なんてねぇよ」

「ただ、隣にお前がいる時間が――まだ足りないだけ」

ドクン――

響はわたしの手を包み込むように握ったまま
じっと目を見つめてきた

「……最近、やっと俺の全部を見せられてる気がするわ」

「全部…?」

「そう。好きとか、寂しいとか、嬉しいとか――
前は素直に言えなかっただろ」

「……うん」

わたしも自然と笑みがこぼれる

「今はちゃんと言える。お前が隣にいるから」

ふわっと優しく微笑む響の表情に
また胸がぎゅっとなる

「だから、こうしてる時間が…すげぇ幸せなんだよ」

ゆっくり響が身体を寄せてきた

目を閉じると、そっと唇が重なる

優しくてあたたかくて
でもしっかりと気持ちが伝わってくるキスだった

唇が離れたあと、響が小さく囁く

「……ほんと、お前が俺の彼女で良かった」

そのまま、また額にそっとキスを落とされた

「……私も、響くんが彼氏で良かった」

自然と声に出せた言葉に
響がまた満足そうに微笑んだ

「これからも、ずっと隣にいろよ」

「……もちろん」

手を重ねたまま
わたしたちは夜風に包まれて静かに微笑み合った

(きっとこの先も――)

(響くんとなら、何度もこんな幸せを重ねていける気がする…)

あの日、勇気を出して選んだこの人の隣が
わたしの大事な居場所になっていく__

――――

完。

――――
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