溺愛の業火
松沢くんは私の観察に気づいたのか、視線を合わせて苦笑。
「で?清水とは、どこまでいったのかな。どこまで許してしまったのか、参考にしたい俺は、とても気になるね。」
そう、どこまで許してしまえるのか。
私には分からない。
「教えないわ。だって松沢くんは相手の弱みに付け込んだり、清水くんと同じ方法で攻めたりしないと思うから。」
「ふうん。清水の事も、俺の事も良く見ているんだね。嫌いじゃないよ、そういうの。」
「うん、だけど……嫌いじゃないからと言って、私と付き合えないよね?」
お互いに見え透いたような笑顔で、沈黙。
何だか松沢くんは、清水くんより、私と同類な気がする。
私と清水くんの問題に、何か出来る事がないかと心配しながら、深くは入ってこない。
そんな彼に本命が誰なのかを、私が確かめるのは間違っていると思う。
だから、同じように話題を振るだけで留めるね。
「さてと、お送りしましょうか?それとも清水を待って、何か話をするのかな?」
「まだ明るいから、さっさと帰るわ。あなたは、どうするの?」
「俺も清水を待たずに帰るよ。今日は本命だけを想って夜空でも眺めるかな。」
きっと私も、今夜は松沢くんが言うように夜空を眺めるだろう。
私は荷物を持って席を立つ。
「じゃ、松沢くん。また明日。バイバイ。」
「あぁ、また明日。」
松沢くんは、また外を見つめて寂しそうな横顔を見せた。
どこか自分を見ているようで、辛くなる。
だけど本当に私と近い感情を抱いているのは、松沢くんの相手なのだと思う。