溺愛の業火
『その後2』
殺伐とした放課後。
今日も黙々と作業を進める事だけに徹する。
机を二つ横に並べ、右隣には松沢くん。
自分の左は窓で、後ろの席の机は近くて狭い。
松沢くんの前には、清水くんが座っている。
机の真ん中には未処理の書類の山。
書類の訂正箇所に印字されたシールを延々と貼付。
そんな細かい作業で時間はかかるし、逃げるのはますます困難。
必死で動揺を悟られないようにしているのに。
「生徒会長殿。最近は、どうなの?」
松沢くんは作業しながら清水くんに話題を振った。
「手探り中だよ。」
何を企んでおられるのか、心臓がもたないのでお手柔らかに願いますよ。
私が居るのを分かっていて、二人は何のお芝居なのかな。
どんどん自分が追い詰められているのだけは分かる。
「手探りねぇ。俺のところには、随分と過激な手回しをしたという情報が入ったけど?」
怖い情報ですね。どこから仕入れたのかな。
どこに手を回したのかも気になるけれど。知らぬ顔で作業を進めますよ、私は。
「何、俺が知らないとでも思ってるのか?松沢の方が余程……まぁ、そんな事は置いておこう。」
何だか、怖い人達に囲まれてしまったな。
「類友なんだ、余計な詮索は時間の無駄だろ。本題に行こうぜ。」
本題の中身は気になるけれど、私の居ないところでして欲しいかな。
口に出せないけど。
「告白した相手は、俺に自分が『相応しくない』って言うんだよね。俺の事を好きで、キスまで許してくれるのに。」
松沢くんに、何を暴露してくれてるんですか!
嫌な汗が出てくる。