溺愛の業火

応援してくれていたのも私は知らず。

「ところで、あの日は誰に手伝ってもらったの?」

あの時間は部活動の人くらいしか残っていない。
だけど教室に荷物を取りに来た時には作業が終わっていた。

「何の情報と引き換えで教えようか?」

この取引が怖い。

「何が知りたいの?」

「それは、こっちのセリフかな。」

黒いわぁ。
やっぱり本命を呼んだのかな。
この教室に二人で、あの作業を黙々と続けるような相手。

「篠崎、これは俺の独り言だ。長くなるけど気にするな。」

そう言いながら、視線を書類に向けて作業を始める松沢くん。
何を語るのかな。清水くんか相手の事か。

「篠崎が閉じ込められていた準備室で、あの日に何があったのかは知らない方が良いよ。まだね。」

まだ?
どういう意味だろうか。

「清水に聞くなら、身を捧げる覚悟くらいしとけよ。」

それって危険な匂いがするけど、大丈夫な訳?
身を捧げるって、そんな事……まだ。

まだ?そういう意味、なの?

「初恋の男の子も、本当は篠崎を好きだったと思うぜ。」

漫画だとよくある話だけど、私に限って。


< 25 / 92 >

この作品をシェア

pagetop