溺愛の業火
『松沢くんの恋2+α』
「で、付き合い始めたのはいいよ。それ、誤魔化されてるだけだから。」
今日も放課後、教室での作業。
清水くんが松沢くんの頬をつねって、口もとだけの笑みで睨んでいる。
ですよね。
出来れば、手を回したとか黒い部分は知りたくないかな。
「痛いって、やめろ。俺のイケメンが下がるだろ!」
憎めないんだけど、松沢くんも黒いよね。
「おっと時間だ。和叶(わかな)、遅くなるようならコイツ使って。」
「後始末が貯まってんだろ、ざまぁ。さっきの仕返しで、送り狼になっても文句は言うなよ!」
あ。
松沢くんのお腹に、清水くんのパンチが決まった。
「げふ。」
清水くんは黒い笑顔で、私に手を振って教室を出て行った。
「もう、どうして彼をからかうのかな?」
「うん?ふふふ……幸せになって欲しいんだよ。歓びは共有する物だろ。」
お腹を押さえながら、良い事を言っているようだけど。
思わず笑ってしまう。
「篠崎は清水を名前で呼ばないのか?」
おっと、避けていた事に直撃ですね。
遠回しに何度か清水くんからも催促があった。
ただ恥ずかしいだけなんだけど。
自分の自信の無さを補う様に、幸せが満ちていく。
両想いなのをクラスが祝福してくれたのも意外だった。
というより、皆が清水くんの気持ちに気付いていたのだという。