溺愛の業火

『庇護:side清水』

『庇護:side清水』


昼休み。
今日は和叶が体調不良で休みの為、仕方なく松沢と昼食。

「不機嫌な顔をするなよ、俺まで暗くなるだろ?」

微妙に暗いのは、お前も同じような気がするけど。
何かあったのかな。

「振られたのか?」

軽い気持ちで尋ねたのに。
松沢は表情が固まって、少し視線を逸らした。

「そんなんじゃない。」

複数と遊んでいると思っていたけど。
どうやら、本命は居るんだな。

「ざまぁ。」

いつも遊ばれているので、つい意地悪が出てしまった。

「俺の事はいいんだよ。それより篠崎とは、どうなんだよ。順調なの?」

話を逸らしてきた。
触れられたくないのか。謝るタイミングを失ってしまったな。

「あぁ、和叶からの初めてキスって凄くないか。そうそう、あの日は両親が居ないと言われて緊張したよ。」

幸せな気分に浸った俺を、コイツは呆れたように。

「はぁ?お前、何言ってんの。」

キス一つで舞い上がる自分を見下された気がして。

「不純なお前と一緒にするな。」

売り言葉に買い言葉。
感情的になって、またコイツを傷つけるような言葉。

「付き合っている相手に求める事が、お前にとって不純なら。篠崎に振られるぞ。恋愛音痴が!」


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