溺愛の業火
「……ごめんなさい、無理してない。違うって分かっているくせに。」
目に涙が溢れ、和叶は零れそうになるのを自分で拭う。
痛む胸。
すれ違うのは些細な事なのに、それが不安なんだ。それなのに。
「キス、してくれたら許すけど?」
俺の歪んだ愛情。
もっと知ればいい。その身に刻んで、ずっと忘れないようにしてやる。
「わかったから、目を閉じてよ。」
少し不機嫌なようで、拗ねている様な口調。
和叶はキスしようと背伸びして、俺に顔を近づけた。
「嫌だ。見たい、和叶が俺にキスする表情。」
意地悪に笑った自覚がある。
我慢の限界を超えたのか、彼女は睨んで叫ぶ。
「見せるわけないでしょ!」
完全にキスする雰囲気じゃないけど、満足だ。
彼女の手が伸びてきたので、珍しい攻撃なのかと覚悟した。
閉じるんじゃなかったな。
顔に触れたのは手だけど、優しい接触。