溺愛の業火
沈んだ俺の顔を覗き込み、和叶は背伸びして、俺の唇に重ねるだけのキス。
「……ふふ。」
突き落されたような暗闇が一転して、口元が緩む。
「何?」
本当は狙ってしてるのかな?
そんな無邪気な笑顔に、愛しさが増す。
「可愛い。」
俺の言葉で視線を逸らし、恥ずかしそうに頬を染める。
目を合わせたい。君の表情を、少しも逃したくない。
和叶と目線を合わせようと、顎に指を当てて、自分の方に向かせた。
そして上からキスを落とす。
目を閉じるのも惜しいほどの時間。
「ねぇ、もう一回。君からキスして。」
さっき和叶は自分からキスしたのに。
「え、そんな事。恥ずかしいから無理。」
すっかり忘れたかのような表情で嫌がる。
俺が何を言っているのか分からない。そんな風にも見える。
この苛立ちは、俺が悪い訳じゃない。
「和叶は、俺にキスするのが恥ずかしくて無理なんだ。そうか、俺は和叶に無理をさせてたんだ、ごめんね。」
棒読みで表情もない自覚がある。