「ありがとう」と「さよなら」をあなたに
どうやら人と話すことが得意なのか、すぐにクラスの輪に入れている転入生。
彼女の周りにはクラスの半分以上の人が集まっており、彼女の姿が見えない程だった。
時間はあっという間に過ぎ、気づけば転入生がやって来てから1週間が過ぎようとしていた。
今は図書委員の先生に頼まれた仕事をしに、図書室に向かっている最中だ。
「ねぇねぇ、黒田さん…だよね」
後ろから私の肩にトントンとしながら話しかけてくる転入生。
「…そうだけど、私に何か用?」
できるだけやさしく話しかける。
…上手く笑えているかな。
「黒田さんってこれから図書委員の仕事?…私、手伝いに来たんだけど…」
「どうして?」
「…先生から図書委員の人数が黒田さんしかいないから、入って手伝ってくれないかって頼まれたんだ」

