クズ彼氏の甘く危険な呪縛
「レ、オ……」


荒れ果てた部屋の中央で、血を流したまま膝をつき、呆然と座り込むレオの姿があった。

ガシャン——

思わず足を踏み出した拍子に、ガラスを踏み抜いた音が鳴る。
床には皿の破片、ガラス、液体が広がっていて、地獄絵のようだった。

私は靴を履いたまま、危険を承知でレオの元へ駆け寄った。


「レオ……?レオっ……!」


近づいても、彼はまったく反応しない。
虚ろな目から涙だけが流れていて、口元は何かを呟いている。


「ヨリ……ごめん……ごめん、ごめんなさい……いかないで、おいてかないで……」

かすれるような声で、何度も何度も謝りながら、ひたすら私の名前を繰り返していた。

両腕はガラスで切ったのか血まみれで、赤黒い液体が床に滴っている。

すぐにタオルを取りに行き、震える手でレオの腕を縛り止血する。
それでも彼は私を見ようとしない。


「レオ、レオ。私だよ。ヨリだよ」


その言葉に、ゆっくりと目が動いた。


「……ヨリ?」


擦れた声で名前を呼ぶレオの目に、ようやく私が映った。


「……大丈夫? いったい、なにが……」


そう訊ねようとした途端、レオは私に飛びつくように抱きついて、床に倒れ込んだ。

——ガリッと、ガラスの破片が擦れる音。
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