クズ彼氏の甘く危険な呪縛
次の日、仕事を少しだけ早めに上がらせてもらった。

日が沈みかけた空は、うっすらと群青色に染まり始めていた。
少し肌寒い風が頬を撫でる。
遠くに、ネオンが瞬く街が見えた。人の気配が、ざわざわと広がっていく。

昨日のメッセージ――あれは見間違いだったのかもしれない。
確認したいけど、でも、違っててほしい気持ちのほうが強かった。

そう、ただの確認。ただの……確認のつもりだった。
わかってる。
本当は確かめたかったんじゃなくて、「違ってほしい」って願っていただけ。

少し寒い。指先が冷えて、スマホを持つ手も震えがちだった。
でも――いなかった。
見渡しても、あの明るい髪も、私が知っている横顔も、どこにもいない。
ほっと息を吐きかけて――

……いない。よかった……。

安堵が、胸の奥をじわじわと溶かしていく。

やっぱり、あれは見間違いだったんだ。
きっと……そう。

……と、その時だった。
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