幼馴染のその先へ

ーうっさいー

朝の競争からそのまま教室に入ると
いつもの友達組がざわざわしてた

 

「おー怜!また美奈と一緒かよ」

「幼馴染リア充すぎ〜」

 

いつもの冷やかし

…まあ、慣れてる

 

「うっさい たまたまだし」

 

美奈は強がった声で返すけど
耳がうっすら赤いのは俺だけ気づいてる

 

席に座ってカバンを置くと
美奈が隣の席にストンと腰を下ろす

 

同じクラスになって
もう3年目

この距離感にも慣れたはずなのに
最近は妙に意識する瞬間が増えた

 

 

美奈が前髪を直しながら
俺をチラッと見る

 

「…何?」

 

「いや 別に」

 

そう言いながら自然と口元が緩む

 

 

その瞬間、別の友達が声を挟んできた

 

「てか怜さ、彼女とか作んないの?お前なら余裕でしょ」

 

「は?別に興味ねーし」

 

即答してから
自然と美奈の方を横目で見る

 

美奈は手元のノートを開きながらも
微妙に顔を伏せてる

 

“…ほんとは作らないんじゃなくて、美奈以外考えてねぇだけなんだけどな”

 

心の中でそう呟いた

 

 

「つーかさ、美奈〜怜のこと狙ってんでしょ?」

 

今度は女子まで茶化し始める

 

「はあ!?違うし!!」

 

美奈は思わず大きな声で否定

 

けどそのあと
ボソッと小さく呟いた

 

“…ほんとバカばっかり”

 

ちゃんと聞こえてるけどな

 

 

そのまま小声で俺が囁く

 

「なんでそんなに必死なんだよ」

 

「…うるさい」

 

顔真っ赤にしながら睨んでくる美奈

 

その反応がまた可愛くて
自然とニヤつく俺

 

 

チャイムが鳴ってホームルームが始まる

それでも心臓のドキドキは
全然止まってくれなかった
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