幼馴染のその先へ
ーなんだよー
文化祭は昼過ぎになって
ますます人が増えてきた
教室は客でごった返してて
俺たちもそれぞれバラバラに動いてた
「怜〜!ちょっとこっちの準備手伝って!」
「おう」
声をかけられて手を動かしながら
無意識に美奈の姿を探してる自分がいる
…いねぇ
廊下を挟んだ向こう
ちょっと人混みの先に、美奈の姿が見えた
例の一年の男と一緒に歩いてる
ジュース片手に
校内を少しだけ回ってるみたいだった
“…ほんの少しだけ”
またあの言葉が脳裏をよぎる
美奈の表情はいつも通りだった
緊張してる一年の男に
気を遣って笑顔を向けてる
優しいんだよな 美奈は
それが――
今の俺にはやけに苦しく感じる
すれ違いざま
一瞬だけ、美奈と目が合った
ほんの一瞬
表情が曇ったように見えた
でもすぐに目を逸らされた
“……なんだよ”
自分でも、何にイラついてんのかわからなくなる
怒ってねぇ
責める気もねぇ
それでも勝手に胸がざわつく
「怜ー!厨房の方人手足りねぇ!助けてくれー!」
「…行くわ」
逃げるように
作業の方へ足を向けた
お互い何も言えず
ほんの少しの距離だけがじわじわ広がっていった
ますます人が増えてきた
教室は客でごった返してて
俺たちもそれぞれバラバラに動いてた
「怜〜!ちょっとこっちの準備手伝って!」
「おう」
声をかけられて手を動かしながら
無意識に美奈の姿を探してる自分がいる
…いねぇ
廊下を挟んだ向こう
ちょっと人混みの先に、美奈の姿が見えた
例の一年の男と一緒に歩いてる
ジュース片手に
校内を少しだけ回ってるみたいだった
“…ほんの少しだけ”
またあの言葉が脳裏をよぎる
美奈の表情はいつも通りだった
緊張してる一年の男に
気を遣って笑顔を向けてる
優しいんだよな 美奈は
それが――
今の俺にはやけに苦しく感じる
すれ違いざま
一瞬だけ、美奈と目が合った
ほんの一瞬
表情が曇ったように見えた
でもすぐに目を逸らされた
“……なんだよ”
自分でも、何にイラついてんのかわからなくなる
怒ってねぇ
責める気もねぇ
それでも勝手に胸がざわつく
「怜ー!厨房の方人手足りねぇ!助けてくれー!」
「…行くわ」
逃げるように
作業の方へ足を向けた
お互い何も言えず
ほんの少しの距離だけがじわじわ広がっていった