ネオンー教えてくれたのは"大人な恋"ー
それから数日後、仕事終わりの悠と落ち合って
駅近くの小さなカフェにいた

まだ早めの時間帯で
街は人通りも少なくて安心してた

ほんの少しでも
店の外でふたりきりでいられるのが嬉しくて
私はずっと悠の隣に寄り添ってた

 

「最近…少し落ち着いてきたな」

悠がそう呟いて微笑む

「ね、やっと少しは楽になってきた?」

「いや、玲那のおかげだな」

「…うそばっか」

くすぐったくなるくらい嬉しくて
私は自然と笑ってた

 

──ほんとに幸せだなって思った瞬間だった

 

その時だった

カフェのドアが開いて
入ってきた数人の制服姿が目に入る

一瞬、心臓が跳ねた

──え…?

 

同じ学校の顔見知りだった

すぐに反射的に顔を伏せた

悠も気付いたのか
すぐに私の肩を軽く抱いて、さりげなく隠すように位置をずらしてくれた

 

「大丈夫…?」

低く小さく耳元で囁く悠の声が
今までになくドキッとする

「…うん」

私は顔を伏せたまま、小さく頷いた

 

そのまましばらく動けずにいたけど
幸い、向こうは私たちに気付く様子もなく
奥の席に座っていった

 

ほっと息を吐いた瞬間
今度は逆に手のひらが汗ばんでた

「今のは…危なかったな」

「……うん」

小声でそう呟きながらも
私は悠の手をぎゅっと強く握り返してた

 

──秘密の恋は甘いけど
やっぱり怖さも常に隣にいる

けど、それでもやっぱり
私は悠がいいんだと思った




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