月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ど、ど、どうして、そこでヘサーム王子が?」

「ヘサーム王子が、クレハと二人きりで何か話をしていたのは、チラッと見て分かっていた。大方、口説かれでもしたんだろう。ヘサーム王子は、クレハを欲しいとか言っておったからな。」

そこまで検討がついているなら、なぜ私にその事を聞く?

いや、その前になぜ、助けてくれなかった?

「それで?何と言われたのだ。ジャラール様に。」

もうこうなったら、隠しておくのも、バカバカしい。

「……なんで、はっきり断らないんだって。」

「ほう。それで?どうしてヘサーム王子に口説かれて、はっきり断らなかった?」

私はじーっと、ハーキムさんを見た。

「ん?」

「断りましたよ。断ったって言ったのに、ジャラールさんが勝手に勘違いしたの。」

「すれ違いか。」

思い出すと、頭の中がパニックになる。

「って言うか、私。ジャラールさんに、付き合ってって言われてないんだけど。」

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