花盗人は風流のうち

放課後の委員会

放課の鐘が鳴る。


遥のやらかしから数日、今日は初めての委員会だ。


教室にはまだ多くの生徒が残っていて、委員会活動への期待に胸を膨らませる者、部活に出れないことを嘆く者、不安げに資料を読み込む者など、様々だった。


涼香は、放課後は毎日ジュリの元へ通っていたが、委員会がある日は帰りが遅くなるのが心配だから、来なくていいと言われている。


委員会を乗り越えれば、久々の直帰だ。


「涼香ちゃん、また明日ね」


美久たちと別れ、涼香は集会資料を手に指定の場所へ向かった。


委員会を決めたのは入学式の日。


殆ど情報のない状態で、決められない人が多い中、涼香は早々に黒板の空欄を一つ埋めた。


図書委員。特に明確な理由はなかったのだが、強いていえばジュリに勧められたから。


理由は聞いていない。


ただ、生徒会と関わる中央委員にはアスカがいるし、生徒会自体にも興味がない。


風紀委員や放送委員、美化委員は活動が忙しい。広報委員は画力や文才が必要だし、保健委員にも興味がなかった。


となると、確かに、図書委員なら静かで楽そうだと。そう思ったのだ。


しかし、図書室に着いたとき、涼香はジュリにしてやられたと思った。
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