過つは彼の性、許すは我の心 弐
鉄扉を吹っ飛ばす力と言い、決して大きくないカールさんの耳をピンポイントで突き刺す絶妙なコントロール力と言い、驚異の強さを持っているのだろう。
渚君達が時々惣倉君を警戒するのもその証拠なんだろうけれど…。
「先輩?」
首を傾げる仕草はやっぱり可愛らしい。
私の知っている惣倉君は、気配りが良く出来て、私と漫画トークするのを心から楽しんでいる可愛い可愛い大事な後輩だと言う事だけ。
惣倉君もそう言う自分が好きだから、そう言う自分でいられる私との時間を大事にしてくれているから、私を助ける為に力を貸してくれている。
うん…よし。
なら私が取る行動は何も変わらないのを再認識する。
ごほんと咳払いして、
「惣倉君。車内でナイフなんて危ないから使っちゃ駄目。人に使うなんて言語道断だよ」
「…先輩の前でやったのは申し訳ないです」
「私の前じゃなくても理由なくやるのは駄目。例え惣倉君にとって嫌な事を言うとしていても、口で言うな馬鹿ぐらい言っても良かったでしょう」
「1度目は俺、ちゃんと警告しました」
「そう言う問題じゃ無いっ!てい!」
「うわ」
相変わらず謝るポイントがズレている気がする惣倉君の頭を、うりゃあと両拳で挟んでグリグリする。
「先輩地味に痛いです」
「でもこう言うので黙らない私の方が良いでしょう?」
「…」