過つは彼の性、許すは我の心 弐
薄暗い田んぼ道から、漸く街灯のある道に出て来た所でバイバイと手を振って別れる。
ナオがそうなってなかったら、こんな風に歩く事もなかったんだよね…。
街灯に照らされながら、ボンヤリとそんな事を思う。
歩き始めた所で、
「うん?」
ポケットの中で振動する携帯を手に取り、相手を確認して電話を取った。
「獅帥君どうしたの?」
『…すぐに返信が来なかったから』
「ふふ…何それ」
君は面倒臭い彼女か!と突っ込んだら『悪い…』と謝って来た。
「いやいやごめんねこっちこそ嫌な言い方して。友達と話し込んでて…」
『そうなのか』
「うん」
『…嫌な事があったのか?』
「…いや、んーそう言う訳じゃ無いんだ」
………この言い方だと嫌な事あったとか思われちゃうんじゃん。
「大丈夫大丈夫。自分の心境にモヤモヤしているだけ。明日また別の友達にも会いに行くからパーっとするし」
私の微妙な言い訳に『…そうか』と少し不満げに返す獅帥君。
このままだと何かあったか聞かれちゃうかも。
そうだ。
「妃帥ちゃんは元気?」
『ああ早く戻りたいって』
「だよねー」
『夏季休暇終わったら帰れると思う』
「え!そうなの良かった!」
単純に妃帥ちゃんがお家に帰れるのは嬉しい。
「早く会いたいなー」