過つは彼の性、許すは我の心 弐
その声に視線を上げれば、厳しくも鋭い目に見下ろされる。
憎々しくも渇望する様な瞳は、子供心に恐ろしくもあってーーー。
「 あの様にたった1人を愛する等決してあってはなりません」
同時に、哀れにも思った。
「オオミカは全てを分け隔てなく愛し、施しを与える存在。だからこそ、私達は貴方方を崇め奉るのです」
荒唐無稽な話だ。
意味の無さないしきたりや決まりに、子供ながらウンザリした記憶がある。
でも顔に出してはいけない。
オオミカとはそう言う存在だから。
人如きにオオミカの心中を悟らせてはならない…らしい。
心底くだらないと思った。
でも、
「貴方が真たるオオミカでいればあの出来損ないも、オオミカにはなれずとも、人として扱って差し上げましょう」
従わないといけない。
今自分で崇め奉ると言ったその口で、自分を優位立たせ、剰え 差し上げる等と宣う。
幾らその言葉に憤りを感じても、幾ら片割れに憎まれ様とも。
『転んだ拍子にティーポッドのお湯を被ったって』
『顔に火傷なんて…』
『この間だって発作を起こして、パーティーの最中に倒れたとか』
『何故上は優秀なのに…』
『きっと全てを生まれた時にオオミカ様に捧げられたのよ』
『あらじゃあ…あの噂も本当?』
『噂?』
『だってあの子はそうな、』
ああ聞きたくない!