過つは彼の性、許すは我の心 弐
顔色は悪くは無さそうだけれど…と思っていれば、獅帥君がそっと私の顔を両手で押さえる。
ぐっ…。
「何故、顔を固定するの?」
ワタワタと手を動かす私に、獅帥君は淡々とした瞳で見下ろす。
柘榴の熟れた様な唇が開く。
花の開花を見守る様に獅帥君の言葉を待たざる得ない状況にされた。
そして、
「ーーー綴が可愛い」
「っ…」
駄目だ顔を逸らせない。
ぐっ…負けられない(?)
「私は、」
「ん?」
「りんご、じゃ、ないよ」
真っ赤な顔をした私が果物にでも見えているのか君は。
下から睨み上げる(顔が真っ赤だから無様だけれど)様に男を見れば、憎たらしい程の美しいご相貌は口角を緩めて微笑んでいる。
「うん、分かってる」
「“好きなモノは安心できるモノ”」
「…」
「だから綴」
「月でも、ないよ」
「うん」
「…っ何なのもう!」
でりゃあ!と腹筋を駆使して起き上がるとーーーゴーン!と良い音が鳴った。
「…っ」
「いっ…」
「ぶっ!」
獅帥君は額を押さえて、私も額を押さえて、渚君は吹き出す。
でも私の方がノーダメージだ舐めるなよ石頭!
「2人とも大丈夫!?」
「ああもう何やってんの」
木野島君は心配気に火ノ宮君は呆れた様に近付いて来る。
「ほらほらつづちゃん額見して」」
「私は平気だけど…」
獅帥君やり過ぎちゃったかも。
渚君が私の額を見ながら「獅帥は自業自得や」とそっけなく言った。