過つは彼の性、許すは我の心 弐


「妃帥が言うた通り家の格…阿呆らしいけど海祇は天條に近いは近いんや」

「そうなんだ…」


 確かに渚君は獅帥君にも妃帥ちゃんにも負け劣らずの品格を持っている気がする。人を圧倒する様な気迫と言うか、何もしなくても人を屈させる力があると言うか。


「…」


 渚君は一歩私に近付く。


 その気迫に半歩下がりそうになった私を渚君の視線が縫い止め、私のギリギリ目の前で止まる。


「家の事もなあなあにせえへん。俺やったら守れる。絶対につづちゃん1人に辛い思いさせへん。なんかあったら逃げて来んかい」


 その言葉に嘘は無い。

 ただの勢いで言った言葉でもなく、必ずやり遂げてくれると言う事が理解出来る。

 
「…今すぐじゃないの?」


 私の意地悪な返答に渚君は苦笑いする。


「だってつづちゃん逃げる気あれへんやろう、今は」

「うん…やっぱり分かっちゃう?」

「俺でもそう思うしな」

「じゃあ似た者同士だ」

「やな」


 何だか可笑しくなって2人で笑う。

 漸くのんびりとした空気に落ち着いた事に嬉しくて、私も心から笑った。

 一頻り笑った後に渚君は「つづちゃん俺が言うた事は本気や」と改めて言って、 


「安心して逃げて来い、何が起きてもどうにかしたる」

 
 あのにっこりと白い歯を見せて笑う海に照る太陽の様に眩しい笑顔を見せくれた。
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