過つは彼の性、許すは我の心 弐
あの後正気に戻ったチンピラがまた吠えていたが、獅帥君が天條に連絡して現れた大人達が、実に大人な対応をしてくれて取り敢えずリタは、天條家の人達が保護する形になった、らしい。
リタは私を睨み付けるのは忘れていなかったけれど、
『あの…!』
獅帥君の事は地獄で見つけた蜘蛛の糸の様に近付き、その瞳を潤ませた。
『助けてくれてありがとうございました』
『…』
男ならこんなに可愛らしい少女に瞳を潤ませて見上げられたら一発だろう。
でも、
『気にしなくていい。綴が望んだからそうしただけだ』
獅帥君は獅帥君だった。
お前が誰であろうと関係ない。
そう態度で示している獅帥君にいつもなら窘める所だが、私の我儘でこう言う風になった手前何も言えなかった。
ただリタも強くて、
『…助けるって決めたのは貴方ですよね?だったらその貴方の決意に感謝します』
綴にじゃなく、貴方に感謝します。
言外にそう言ったリタに獅帥君は眉を顰めた。
獅帥君はリタは全くと言って言い程興味なさそうで、以降一瞥すら送る事はなく、彼等にリタを任せるとだけ言って、私達と共に当初の目的である買い出しに戻った。
『おーいお前ら…ってどうした?』
『色々あって…』
『…』
首を傾げる合流したクラスメイト達に乾いた笑いで返すしか無かった。