過つは彼の性、許すは我の心 弐

ルイ君と強襲



 はあ…スッキリ…した。

 手洗いしながらホッと溜息。

 獅帥君と居た時から催していたけれど、トイレの中まで着いてきそうな勢いだったから言い出せなかった。

 例え外で待ってくれていたとしても、時間が掛かりそうで(ドレスが床につきそうで怖かった)まごつけばきっと入って来そうな気がしたし…。

 心配掛けるような事をしているから、文句も言えないんだけれど。


「ルイ君も見つかんないしなあ…」


 携帯見ても出没情報はあるみたいだけれど、他の皆んなも発見には至っていない様だ。

 喫茶店行くって言っちゃたけれど、獅帥君と合流したらまた捜索に加わわれねば。

 バックに携帯を仕舞いながら鏡をふと見たら、


「あ、ハズレかけてる…」


 髪に付いている花のピンが、定位置からはみ出しているのに気付く。


「折角きれいにやって貰ったのに」


 鏡でピンを押し戻しながら、他にも乱れがないか確認する。


「あ、ごめんなさい」


 トイレに人が入って来た為に鏡の前から退こうとする、が。


「(…動かない?)」


 何故か入って来た人物がそれ以上歩こうとしないので、その人物を漸く視界に入れた。


「久々ね、唐堂さん」

「貴方は…」


 校則ギリギリラインを狙うはだけた制服の着こなしに、内側に巻かれた明るいセミロングの髪、メイクは派手すぎないが唇を彩る赤赤としたグロスが目につく。印象は魔女。

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