過つは彼の性、許すは我の心 弐
「るり先輩…」
フレアの追っかけで、そのボス的な存在。
「獅帥様の傍にいる貴方が、覚えてくれているなんて嬉しいわ」
あんだけ初対面敵意剥き出しなら忘れる筈がない。
トイレへの用事が無さそうな所を見るに、
「…あの何か用事でも?」
私だろうな。
るり先輩は高圧的なのは変わりないが、
「…私親切だから貴方に忠告しに来たのよ」
と言って笑う姿に、違和感を覚えた。
「忠告?」
聞き返す私を鼻で嗤うるり先輩。
以前は怒りを叩きつけるだけの感情的な人に見えていたのに、何処か余裕綽々で気味が悪く感じる。
「身の程を知りなさいって事」
るり先輩は携帯を取り出して操作する。
そして見せられた画面にーーーー意識が遠退きそうになった。
「そ、れは…」
「そう貴方が惣倉喜影と密会している現場」
あの図書準備室で起きた動画で、手先が冷たくなるのを感じた。
「ああ安心して?この事を知っているのは、偶々貴方を見掛けた私だけだから」
「…」
動画を中止したるり先輩は不敵に笑う。
「これでも家は大きな芸能事務所を持っているし、私自身も何回かTVに出たりしているから、フォロワーも沢山いるの。私が今操作を誤れば…」
分かるでしょう?
グロスのたっぷりと付いた唇が私を嘲笑い、言葉で殺そうとしてくる。