過つは彼の性、許すは我の心 弐

 あの時は彼と変わってしまったあの子に、ついて行くのに必死だったから、周りを気に掛ける余裕も無くって、良い思い出を探そうとしたら、砂漠で砂金を見つける並に難しい。


「そんな時にその彼が居なくなってね、丁度いいタイミングで家族が迎えに来てくれたの」

「…」

「家に帰ったら鬼の形相したママに頬叩かれて…そしたら張り詰めていた糸?みたいのがブチンって切れて、安心感で凄い涙が出て来たの。思わず叩いたママにありがとうって言っちゃうぐらい」


 心の底から、安堵した。


 叩かれて感謝されると思わなかったママも大きく目を開いて、見守っていた家族が私に駆け寄って抱き締めてくれる。

 久々に全員が揃って大丈夫?何があったの?身体は?とか心配されて、怖かった事とか悲しかった事が沢山溢れ出して、暫く泣く事しか出来なかった。
 

「その後は皆んなが只管優しくしてくれて、眠れない時は誰かが傍にいてくれて、休養させてくれた。疲れてた心がジワジワと回復するのを感じたよ。私の居場所はここなんだって、ここに居ていいんだって」


 大好きな人達が傍にいるだけで、こんなにも落ち着いて眠れるなんて…と驚くと共に納得した。

 ふと、


「獅帥君はどんな時に感じる?」

「…何がだ?」

「安心する、落ち着いて眠れるって時」
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