結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


助手席から降りた父が、まず手を差し出したのは母にだろう。

海里から見ても父はかっこいい。
まだ背の高さは追いつけないし、筋肉質な体型もヒョロヒョロの海里よりたくましい。

そんな父の仕事を手伝ったり、家のことをしたりと母は大忙しだ。
ただしどんなに忙しくても、家にいるときのふたりはピッタリ寄り添っているから仲はよさそうだ。
海里の目の前でプロポーズしたというが、本当だろうか。

母は父と手をつないだまま、車から降り立った。それから父がもう一度タクシーに手を伸ばす。

最後に降りてきた人が、父を産んだ人なのだろう。

父の髪色は海里とほぼ同じ茶色だが、その人はもう少し明るいブラウンで白髪が混じっている。
背は高いけど、ボリューミーな人のようだ。

海里は二階の窓から家族の様子を眺めていたが、弟が花壇に入ろうとしているのを見つけた。
坂上のじいちゃんが丹精込めた庭を荒らす前に止めなくては。

海里は一階に駆け下りて、家族の前に姿を見せた。

いらっしゃい(ウエルカム)おばあちゃん(グランマ)

初めて会う祖母に挨拶すると、すぐに駆け寄ってきてぎゅっとハグされてしまった。
その人が泣きそうな顔をしているから、海里までうれしいやら恥ずかしいやらで赤くなってしまう。

「ありがとう」

その人は、海里の家族ひとりひとりに声をかけていく。

「ありがとう。湊斗、彩奈」
「ありがとう、孫たち(グランドチルドレン)

玄関に立ったまま、坂上のじいちゃんとばあちゃんはとってもニコニコしている。
これなら弟と妹が花壇の花をつんで、アメリカのおばあちゃんにプレゼントしても許してくれるはず。

五月の花壇は、ピンクや黄色、オレンジに紫それに白と、色々な花が咲き乱れている。
きっときれいな花束になるだろう。


今日の海里は弟へのげんこつを忘れるくらい、とっても気分がよかった。













          ー 終 ー












< 105 / 105 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:366

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
燈生は、ぼんやりと川面を見つめていた。 「明日香……」 姿を消した愛しい人の名をつぶやく。 今どこにいるのか、なにをしているのか。 燈生は再び歩き始めた。 自分が失ったものを、必ず見つけだすと心に決めて。     ※ 久しぶりの投稿です。どうぞよろしくお願いします。
表紙を見る 表紙を閉じる
やっと気づいた。 好きだという言葉や、相手を想う気持ちだけでは満足できないくらい彼が好きなんだ。 「会いたい」 会って、彼の温もりを感じたくて、私は駆けだした。   ☆ マカロン文庫三月刊で書籍化されることになりました。   ☆ こちらはサイト版です。よろしくお願いいたします。
虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「俺と結婚するしかないな」 え? あなたと私が結婚⁉ 「君は嫌な相手と結婚しなくていいし、俺は自分の事業計画を進められる」 彼は根っからの仕事人間だ。 私たちの間にあるのは、お互いのメリットだけ。 だから私は契約を交わして、彼の婚約者兼ビジネスパートナーになった。  ☆ こちらはサイト版です。    ベリーズ文庫では異なる展開になりますので、ご了承ください。    

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop