結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


「それは」

すぐに断るべきだとわかっていても、言葉が続かない。

「答えは急がない、それに」

なぜか湊斗がまた黙り込んだ。

「社長、どうかなさいましたか」

そう言ったつもりだったのに、いつの間にか言葉は消えていた。
彩奈の唇は、湊斗のそれに覆われていたのだ。

(いけない)

キスだと分かった瞬間に、頭の中では「ダメだ」と叫んだ。
だが彩奈の体は違った。待ち望んでいたように唇を受け入れて、湊斗のキスを味わっているのだ。

(こんなことしちゃ、いけない)

だが唇を柔らかくついばまれたりなめられたりしているうちに、頭の芯がボーっとしてくる。

(どうして、私に)

キスなんて、年上の湊斗にしてみれば女性に対してのあいさつくらいのものかもしれない。
でも彩奈にとっては、好きな人とのキスだ。
唇の甘い感覚が全身に広がっていく。感じすぎてもう立っていられないくらい、ひざがガクガクしてきた。

口を覆われて息苦しいと思い始めたときに、ふいに唇が離れた。

「すまない」

湊斗の低い声が、彩奈の心に新しい傷を負わせた。





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