結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない
自分だけが異物のようだと感じていたら、老人は湊斗の方をふりむいた。
「どうぞ」
彩奈がずっと寄り添っているが、車いすを降りた老人は杖をついてゆっくりと自力で歩いている。
東原が下半身にマヒが残ったと言っていたのを、今更のように思い出した。
そのままゆっくりと玄関わきの応接室に入って行くので、湊斗もそれに続いた。
「彩奈、お茶を、頼む」
「はい」
そのままソファーに座り込んだが、リハビリのあとだけに疲れているのかもしれない。
いきなり訪ねてきて申し訳なかったが、どうしても彩奈と男の子に会いたかった。
ゆっくりと手を動かして、座るようにとすすめてくれる。
「改めまして。早瀬湊斗と申します」
向かい合うように座ってから頭を下げると、うんうんと言うようにうなずいてくれる。
「彩奈の、父、です」
しばらく沈黙が続いたが、彩奈が緑茶を運んできた。
「どうぞ」
茶を置いた彩奈がソファーに座ろうとしたら、父親はしばらく下がってと言うように手を振っている。
「でも」
どうやら彩奈の父親は、男同士で話がしたい様子だ。
彩奈が渋々応接室から出て行くと、父親はまたゆっくりと話し始めた。