結婚式の日に裏切られた花嫁は、新しい恋に戸惑いを隠せない


湊斗は名前を知らないが、アプローチには色とりどりの花が植えられている。
鮮やかな緑の芝生には子ども用の赤いボールが転がっているのが見えた。
それに少し大きめのジャングルジムも黄色やオレンジの鮮やかな色合いだ。きっと庭に置かれたばかりなのだろう。
この子の好きなものはどれだろう。そんなことを考えながらゆっくりと眺めていたら、玄関のドアが中から開いた。

「リハビリお疲れさまでした」

顔を見せた女性は、彩奈によく似ていた。

「おばあちゃん、ただいま」
「おかえりなさい、海里君」

男の子はひょいと滑るように老人の膝から降りて、玄関の中に駆けていく。

「あら、お客様でしたか」

おっとりと話しながら女性は「どうぞ」と微笑みながら湊斗を迎え入れてくれた。

「ジュースほしい~」

先に家の中に入った男の子の声が聞こえると「すみません」とまた微笑んでから、パタパタと奥に入って行く。

「ジュースくださいでしょ」
「は~い」

言葉使いを直しながらも、かわいくて仕方がないといった様子だ。

キッチンで交わされている祖母と孫の温かな会話。それを聞いて微笑んでいる祖父。
このシーンだけ切り取ると、とても穏やかな午後のひとときだ。

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