黒兎の相棒は総長でも止められない

認めたくなかったけど

次の日、昼休み。

教室で、由梨と沙耶とお弁当を広げてた。

でも今日は――二人の様子が朝からずっと怪しかった。

　

「ねえ七星」

　

「……なに？」

　

「正直に言ったら？もう」

　

「何が」

　

沙耶が食べかけの唐揚げ持ちながら追い討ちをかけてくる。

　

「凪くんだよ！」

　

「……な、なにが！」

　

「最近ずっと送迎してもらってさ、顔もいいし優しいしさ。もう誰がどう見たってそうじゃん！」

　

「だから違うってば！」

　

由梨がニヤニヤしながら身を乗り出してくる。

　

「じゃあさ、ちょっと想像してみて？」

　

「……」

　

「もしさ――」

一瞬、由梨が声を落とす。

　

「凪くんが次から送迎は違うやつがくるって言ったら？どう思う？」

　

「……え」

　

その瞬間、胸がぎゅっと締め付けられた。

（凪くんじゃなくなる…？）

　

勝手に想像してしまって、息が詰まる。

　

「……いや、ちょっと…やだ…」

　

「ほらーーー！！！」

　

二人は声を揃えて叫んで笑った。

　

「もう完全に好きじゃん！」

　

「やばいなこれ」

　

「だ、だって…！」

　

私は慌てて否定しようとしたけど、途中で止まった。

もう、無理だった。

　

「……かも…」

　

小さく、認めるように呟いた。

　

「ようやく言ったーー！」

「素直じゃん今日の七星！」

　

顔は熱くて、耳まで真っ赤になってるのが自分でも分かる。

（やばい…ほんとにやばい…）

　

自分でも
とうとうはっきりわかってきてしまってた。