婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「どうした?」と彼は振り返りながら聞いた。

使用人は少し緊張した様子で答えた。

「大臣が緊急の案件を持ってきまして、至急お話が必要だと申しております。」

その言葉にクリフの表情が一瞬だけ曇ったが、すぐに落ち着きを取り戻した。

「わかった。アーリン、少し離れるよ。でも直ぐ戻ってくるからね。」

そう優しく囁き、私の手を軽く握ってから自室を後にした。


部屋にぽつんと一人取り残されると、胸の奥にぽっかりと穴が空いたような寂しさが広がった。

クリフの温もりがまだ残るその場所で、私は小さく息をつく。

彼の言葉は優しいのに、その後に続く沈黙が怖い。

戻ってくると言ったけれど、本当に戻ってくるのだろうか。

私はその不安に押しつぶされそうになりながら、ただ静かに待った。
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